冬野菜の代表である、白菜。薬膳の効能は、平: 甘で胃・ 大腸・ 肝・ 腎・ 膀胱に帰経があります。清熱、利水、通便、除煩、養胃ということでデトックスはもちろん、疲れた胃にも良いお野菜です。また、肉食や洋食が続いている方にも取っていただきたいお野菜です。
揚げ物や丼などを食べたときに、添えられている白菜のお漬物はぜひ食べましょう。また、白菜の浅漬けなどを作って常備しておくのもよいでね。

白菜の旬は11 月から2 月ですが、昨年の暑さが随分と⾧く続いたために、11 月や12 月の白菜は葉が締まってなくて、甘さも少なかった気がしす。また、値段もかなり高騰していました。白菜は寒さに耐えるために糖分を蓄え、葉が締まり、甘みが増して栄養価も高くなるので、昨年の秋の気候の異常がこのような事態になったのだと容易に推測できますね。
寒いというと、過酷な自然環境を想像しがちですが、寒さによって葉が締まってぎゅっと詰まった立派な白菜が収穫できるように、寒さが必要なものもあるのです。
四季の特徴を活かす知恵が、食文化には残っています。寒いからこそ、保存できるものや、味噌や醤油などの寒仕込みと言われるものもこの時期に仕込むのです。
四季の移り変わりや気温変化、自然環境に順応して生きるということを教えてくれているのも、中医学にはあります。それは、中医学が陰陽論と五行論の二つの大きな哲学を基礎とした学問であるからなのです。
暖かいほうがいいよねーと思うかもしれませんが、寒くならないと起きる弊害もあるのです。どんどん自然環境が変化していて、農作物が成育していない、市場に出回らないというのを少しずつ感じています。そして、食べて元気になる薬膳を伝える身として、食材の恩恵を強く感じているからこそ、農作物が成育しないことに対する危惧の念も抱いています。
2025 年が人間にとって優しい自然環境であることを切に願います。また、災害等が少ないこと、過酷な状況にならないことを願ってやみません。


2025.1.11 横尾 佳那珠